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嗚呼正丸峠〜若き日の蹉跌(?)〜 [自転車]

 今までこのブログを見てくださった方には「コイツ全然走ってねえな」という印象を持たれている方も多いと思います。ケーブル切れ、サイコン、遊園地、パン焼き器、スワンボートと、走り自体には全然関係のない話が続いているので無理は無いのですが、本当に走っていないので文句は言えません。先月の走行距離は450km。しかも通勤込みです。トレーニングは全くやってません。

これではいけないと一念発起、ようやく晴れた日曜日に、久しぶりの朝練に出ました。先週のリベンジです。

しかしその前に昔話を…

正丸峠で沈没

 今となってはもはや何時の事だったか 季節すら思い出せなくなってしまったが、10年程前、トレックのハイブリッドバイク”UAV”(今だとクロスバイクですね。ちなみに"UAV"とは Urban Assault Vehicleの略だそうです。なんのこっちゃ)を買って暫く経ったある日の昼頃、私は飯能郊外の国道299号線を北西進していた。

PICT1046.jpg

我が家の主力戦闘機2機 今回の主役は奥に置かれたクロスバイク「TREK UAV」 サドルとペダル、消耗品以外は当時のママである。

休日の有り余る空き時間を利用し、別に目的地など無く、ただ走りたいが為に飽きるまで走るという、自転車乗りとして理想的な時間の使い方。家庭生活に追われる今となってはこの気侭さが羨ましい。しかし、当時の私にはこの自由さを効果的に使うサイクリストとしての知識と技量に全く欠けていた。

 実践出来ているかどうかはともかく、今日まがりなりに自転車の乗り方について勉強している私であるが、当時はそんな事を考えてみた事も無かった。それというのも学生時代に自転車通学で累計距離だけは相当にこなしていたため、自分が自転車の運転如きで不足している面が有るとは思わなかったのである。


 言うまでもなくこれはとんでもない間違いで、片道12kmを朝晩繰り返すなんてことは若い肉体にとっては全く負担とならない為、そこに技術の重要性を見いだすのは困難だったという事に過ぎない。やはり疲労の蓄積するロングライドや、極端に高い回転数を求められるスプリント等、突き詰めた所でないと技術の重要性は認識出来ないのである。という事は後々存分に思い知らされる事になるのだが、この時の私はまだまだ若かったし、何より無知とは恐ろしいものである。同時に、無茶をしながら間違いに気づき、成長する余地が有るのが若さの良い事なのだろう。


 そんな青二才なので、この日秩父方面に向かう私は滅茶苦茶なペダリングをしながら意気軒昂であった。ピンディングペダルは付いていたし、クリート付きの靴も持っていたが、まだ使いこなせていないので普通の靴。引き脚は使えないのでただひたすら重いギアを踏み込み、ケイデンスは60前後、時速20km程で 299号線を登って行った。トラック、ダンプの類が多く通る道なので、歩道が有る所では上がらせてもらって徐行。車が途切れると車道に降りて時速30km 位に速度を上げ、調子に乗っていたなぁ…と、今となっては非常に恥ずかしい乗り方である。「もっと低いギアで、一定の負荷を心懸けながらクルクル回せよ」と、当時の自分に言ってやりたい。


 やがて目の前に正丸トンネルが現れた。このトンネルを抜けると秩父郡横瀬町、そして秩父市へと続く下り坂である。自分の性格からしてトンネルを抜けてし まったら秩父の市街地まで調子に乗って気持ちよく下ってしまい、西武秩父駅前辺りで途方に暮れるのが目に見えた。また、長く狭く危険だと思われたので、トンネルを抜けるのは止め、手前を右折して正丸峠を登る事にした。


 そして停まった。いきなり停まった。斜度が上がった地点で全く脚が動かなくなった。確かに正丸峠の登り口はちょっとだけ斜度が10%近くあるのだが、それにしても随分なヘタレっぷりである。ヤビツを好き好んで登っている今の自分からすれば「お前、本当に俺より10歳若いのか?」と、言いたいくらいだ。


 いくら何でも28×30Tというギア比を踏めないという事は正常な状態においてはまず無い。この時私はそこまでの滅茶苦茶な走り方で無駄に体力を消耗し、さらに補給の概念を欠いていたため、ハンガーノックに陥っていたのである。

 それからは地獄であった。登り口から峠まで、地図上では4.4 km。どうってことは無い距離だが、当時の記憶からは「ただひたすら長い」という印象しか引き出せない。さらに言うならば、ここで自転車を漕いだ記憶がほ とんど無い。覚えているのは「やっぱり乗らなくちゃ」と思って跨がったものの、ほんの数漕ぎでまた降りた事と、自転車を押して敗残兵の如くトボトボと坂道を上っている最中に見かけた湧き水、そしてその横に立ててあった「この水は飲めません」の看板である。

 飲めない水があれほど狂おしく魅力的に見えたのも、完全に水不足だったせいに違いない。こんな経験はまだ10代の頃、駅伝の合宿で夕方、自分のパンツを洗っている洗濯機の水を見て「旨そう」と思ったとき以来だった。

 当時はボトルケージに丁度嵌る、750 ccのペットボトルのスポーツドリンクが普通にコンビニで売っていた(最近見ませんが、なんで無くなっちゃったんですかね?レースの時に使い捨てボトルとして便利なのですが…)ので、これを適宜購入しつつ水分補給をしていたのだが、峠を登り始めた時点でそのアクエリアスは既 に空っぽであった。バカバカバカ!峠を舐めるなよ俺!!水が無ければ体は動かない。当たり前の事なのにそれをすっかり無視していた。自分の体力を過信して いたのである。

 何度と無く現れる「飲めません」の湧き水を横目になんとか峠にたどり着き、レストハウスで昼食を採った。体は精確且つ現金なもので、エネルギーを補充すると覿面に動くようになり、山伏峠を超えて有馬ダム前を通過、飯能市街を抜けた所でまたエネルギー欠乏を感じたので夕食をとり、帰宅した。おそらく 80kmに満たない行程だったが、所要時間は7時間超。いくら途中で歩いたり、二度の食事を挟んでいたりするといっても遅過ぎである。スピードを維持して 距離(たかが80kmだけど)を走り切るには適時に補給する事が大事だと思い知った。

あれから幾星霜…

ああ、長くなってしまった。今日はこのコースに再び挑んだ(なんて言う程大したコースじゃない)のですが、その顛末は次回に


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